技能実習制度の見直し
現行の技能実習制度の問題点や課題を受け、技能実習制度の方向性が昨年末から数回にわって検討され、その検討結果が平成26年6月10日付けで公表されました。
従前のビザ(在留資格)である研修が研修・技能実習制度として平成22年7月1日よりリニューアルされました。
技能実習制度の本来の目的は「開発途上国への技能移転」です。しかし、技能実習生の受入れ機関は「開発途上国への技能移転」ではなく、人手不足を補う安価な労働力として利用しているのが現状です。
従前の研修制度に比べ、技能実習制度は労働関係法の適用対象となる等の外国人保護が手厚くはなっています。しかし、制度に不備があり技能実習制度が悪用される事が問題視されていました。
実際に他士業の先生で「技能実習制度を利用した安価な労働力」をテーマにしたセミナーの広告を目にしたことがあります。少し前に外国人技能実習生が起こした殺人事件でも一部メディアでは、某士業が行っている「安価な労働力確保のための技能実習制度の推奨」を問題視していました。
外国人受入れ制度検討分科会が関係各所からのヒアリングで浮かび上がった問題点に対してい以下の見直し検討方向性が示されました。
@ 技能等の修得・移転を図るための見直しを実施
技能評価試験の在り方の見直し・受験の義務化。
技能等の修得・移転の確実な実施を監理団体・実習実施機関の要件に追加。
技能実習生の帰国後のフォロー。
A 監理団体による管理実効性の強化や監督の適正化を図るための見直しを実施
監理団体の義務・責任を明確化。
認可主体等による監理団体の監督の強化。 等
B 公的機関による監理団体・実習実施機関の監視体制の強化を図るための見直しを実施
関係行政機関の調査権限、調査・摘発体制の強化。
罰則の整備、不適正な管理団体等の名称公表の検討。 等
C 技能実習生への人権侵害行為への対応の強化を図るための見直しを実施
監理団体、実習実施機関に対する可罰化など取締り体制強化。
不適正な実習実施機関から他の機関へ転籍できる仕組みの構築。 等
D 送出し機関への規制の実効性の強化を図るための見直しを実施
監理団体による保証金の有無等の確認強化。
送出し機関規制強化のための2国間協定の締結を検討。 等
E 実習期間の延長の実施
優良受入れ機関で実習する一定の条件を満たす技能実習生へ、より高度な技能実習を行うための2年程度の実習期間の延長、再実習。
F 受入れ人数の上限の見直しの実施
G 対象職種の拡大の実施
介護等の分野の2号移行対象職種の拡充。 等
かなり多くの改正課題が挙げられ、技能実習制度の本来の目的に合った運用ができるような方向に進みそうに思います。
ただ、上記G 対象職種の拡大の実施が少し気になります。介護、林業といった職種の追加を検討するようですが、「安価な労働力」となる気が・・・
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