在留特別許可(入管法50条)とは
在留特別許可とは入管法24条各号に規定されている退去強制事由の該当者で退去強制される外国人に対し、法務大臣が特別に在留を許可すべき事由ありと判断しその裁量により与える在留許可です。
在留特別許可の要件
入管法第50条に規定する在留特別許可は、法務大臣の裁量的な処分でその許否判断は個々の事案ごとに「在留を希望する理由」「家族状況」「生活状況」「素行」「内外の諸情勢その他諸般の事情」「その外国人に対する人道的な配慮の必要性と他の不法滞在者に及ぼす影響」など総合的に判断されます。
実際、在留特別許可される場合は限定されています。
在留特別許可が見込まれる場合
以下の場合は在留特別許可が見込まれます。
・永住許可を受けている
・元日本国籍で、本籍を有していた
・人身取引等の被害者
・日本人又は特別永住者の子
・日本人又は特別永住者との間に生まれた未成年・未婚の実子を扶養
(親権が必要。日本相当期間同居し、監護養育していることが必要)
・日本人又は特別永住者と婚姻している
(夫婦として相当期間共同生活し、婚姻が安定・成熟している必要あり)
在留特別許可の可能性がある場合
以下の場合は在留特別許可が見込まれます。
・日本で生まれ10歳以上の同居・養育している実子が日本の学校に通学している場合のオーバーステイ家族で、
自主申告した場合
・永住者、日本人の子、永住者の子、定住者と婚姻し、夫婦として相当期間共同生活している場合で、自主申告
した場合
・永住者、日本人の子、永住者の子、定住者との間の未成年・未婚の実子を扶養している場合で、自主申告
した場合(親権が必要。日本相当期間同居し、監護養育していることが必要)
・永住者、日本人の子、永住者の子、定住者の扶養を受けている未成年未婚の実子で、自主申告した場合
・日本に20年以上在留し、定着性が認められ自主申告した場合
在留特別許可が期待できない場合
以下の場合は在留特別許可が期待できません
・密航・不法入国・ビザ(在留資格)の偽装
・過去に退去強制手続きを受けた事がある
・刑事法令違反、これに準ずる素行不良がある
・犯罪組織の構成員等、在留状況に問題がある
・違法薬物・拳銃等の密輸入・売買により刑に処せられたことがある
・凶悪重大犯罪により実刑に処せられたことがある
・不法就労助長罪、集団密航罪、旅券等の不正発行等、入管行政の根幹に関わる違反等があること
ビザの更新と在留特別許可
ビザ(在留資格)の更新を忘れている場合で、期限の経過日数が短期間であり、在留状況も良好な場合になされる在留特別許可もあります。
ただし、ビザ(在留資格)更新前と同じビザ(在留資格)が得られる保証はなく、在留特別許可が認められても、ビザ(在留資格)の期間が短縮されることが多いようなので、在留特別許可を想定しないで、期限内にビザ(在留資格)の更新をして下さい。
在留特別許可された例(日本人との結婚の場合)
・在留期間1年7ヶ月 ・7ヶ月のオーバーステイ ・婚姻期間1年6ヶ月 ・夫婦間の子1人 ・刑事処分等はナシ
↓
1年の日本人の配偶者ビザが在留特別許可によってなされた
・在留期間3年3ヶ月 ・3年のオーバーステイ ・婚姻期間9ヶ月 ・夫婦間の子0人 ・刑事処分等はナシ
↓
1年の日本人の配偶者ビザが在留特別許可によってなされた
・在留期間6年 ・4年のオーバーステイ ・婚姻期間3ヶ月 ・夫婦間の子0人 ・刑事処分等はナシ
↓
1年の日本人の配偶者ビザが在留特別許可によってなされた
・在留期間23年7ヶ月 ・23年6ヶ月のオーバーステイ ・婚姻期間10ヶ月 ・夫婦間の子0人 ・刑事処分等はナシ
↓
1年の日本人の配偶者ビザが在留特別許可によってなされた
・在留期間3年3ヶ月 ・3年のオーバーステイ ・婚姻期間9ヶ月 ・夫婦間の子0人 ・刑事処分等はナシ
↓
1年の日本人の配偶者ビザが在留特別許可によってなされた
・在留期間5年7ヶ月(不法入国) ・婚姻期間9ヶ月 ・夫婦間の子1人(未成年) ・刑事処分等はナシ
↓
1年の日本人の配偶者ビザが在留特別許可によってなされた
・在留期間7年2ヶ月(不法入国) ・婚姻期間7ヶ月 ・夫婦間の子0人 ・刑事処分等はナシ
↓
1年の日本人の配偶者ビザが在留特別許可によってなされた
在留特別許可された例(外国人配偶者の場合)
・在留期間3年4ヶ月 ・3年1ヶ月のオーバーステイ ・婚姻期間7ヶ月 ・夫婦間の子0人 ・配偶者は永住ビザ
・刑事処分等はナシ ↓
1年の永住者の配偶者ビザが在留特別許可によってなされた
・在留期間3年4ヶ月 ・3年1ヶ月のオーバーステイ ・婚姻期間7ヶ月 ・夫婦間の子0人 ・配偶者は永住ビザ
・刑事処分等はナシ ↓
1年の永住者の配偶者ビザが在留特別許可によってなされた
・在留期間15年3ヶ月 ・15年のオーバーステイ ・婚姻期間1年5ヶ月 ・夫婦間の子0人 ・配偶者は永住ビザ
・刑事処分等はナシ ↓
1年の永住者の配偶者ビザが在留特別許可によってなされた
・在留期間9年4ヶ月 ・9年1ヶ月のオーバーステイ ・婚姻期間7ヶ月 ・夫婦間の子0人 ・配偶者は定住者ビザ
・刑事処分等はナシ ↓
1年の定住者の配偶者ビザが在留特別許可によってなされた
・在留期間7年3ヶ月(不法入国) ・婚姻期間1年 ・夫婦間の子1人(未成年)・配偶者は定住者ビザ
・刑事処分等はナシ ↓
1年の定住者の配偶者ビザが在留特別許可によってなされた
・在留期間6年9ヶ月(不法入国) ・婚姻期間8年3ヶ月 ・夫婦間の子1人(未成年) ・配偶者は定住者ビザ
・刑事処分等はナシ ・退去強制歴は有
↓
1年の定住者の配偶者ビザが在留特別許可によってなされた
在留特別許可された例(日本で生まれた子がいる場合)
・在留期間12年5ヶ月 ・12年2ヶ月のオーバーステイ ・日本出まれの子3人(1人が10歳以上)
↓
1年の定住者ビザが家族全員、在留特別許可によってなされた
・在留期間18年11ヶ月 ・18年10ヶ月のオーバーステイ ・日本出まれの子2人(1人が10歳以上)
↓
1年の定住者ビザが家族全員、在留特別許可によってなされた
・在留期間10年3ヶ月 ・10年2ヶ月のオーバーステイ ・日本出まれの子1人(10歳以上)
↓
1年の定住者ビザが家族全員、在留特別許可によってなされた
・在留期間19年3ヶ月(不法入国) ・日本出まれの子1人(10歳以上)
↓
1年の定住者ビザが家族全員、在留特別許可によってなされた
・在留期間19年4ヶ月(不法入国) ・親に退去強制歴あり ・日本出まれの子3人(1人が10歳以上)
↓
1年の定住者ビザが家族全員、在留特別許可によってなされた
・在留期間18年11ヶ月(不法入国) ・親に入管法違反歴あり ・日本出まれの子1人(10歳以上)
↓
1年の定住者ビザが家族全員、在留特別許可によってなされた
在留特別許可されなかった例(日本人との結婚の場合)
・在留期間7年3ヶ月 ・3年11ヶ月のオーバーステイ ・婚姻期間3年9ヶ月 ・夫婦間の子0人
・刑事処分等はナシ ↓
調査の結果、偽装結婚の疑いがあり、在留特別許可されなかった
・在留期間16年 ・15年9ヶ月のオーバーステイ ・婚姻期間2年4ヶ月 ・夫婦間の子0人
・刑事処分等はナシ ↓
調査の結果、偽装結婚の疑いがあり、在留特別許可されなかった
・在留期間18年11ヶ月 ・18年10ヶ月のオーバーステイ ・婚姻期間1年6ヶ月 ・夫婦間の子0人
・刑事処分等は有 ↓
刑事処分の事実により、在留特別許可されなかった
・在留期間13年3ヶ月 ・13年のオーバーステイ ・婚姻期間5年 ・夫婦間の子0人 ・刑事処分等はナシ
↓
調査の結果、不法就労助長の事実があり、在留特別許可されなかった
・在留期間2年 ・5ヶ月のオーバーステイ ・婚姻期間2週間 ・夫婦間の子0人 ・刑事処分等はナシ
↓
調査の結果、資格外活動による入管法違反の事実や偽装結婚の疑いがあり、在留特別許可されなかった
在留特別許可されなかった例(外国人配偶者の場合)
・在留期間18年1ヶ月 ・9年のオーバーステイ ・婚姻期間3年5ヶ月 ・夫婦間の子0人 ・配偶者は永住ビザ
・刑事処分等は有 ↓
所得税法違反で在宅起訴されたことにより在留特別許可されなかった
在留特別許可されなかった例(日本で生まれた子がいる場合)
・在留期間17年10ヶ月 ・17年7ヶ月のオーバーステイ ・日本出まれの子1人(10歳未満)
↓
虚偽のビザ申請である事実により、在留特別許可されなかった
・在留期間21年5ヶ月 ・20年11ヶ月のオーバーステイ ・日本出まれの子1人(10歳未満)
↓
過去に退去強制の事実があり10歳以上の実子がいないため在留特別許可されなかった
在留特別許可の必要書類
在留特別許可を求める場合、以下の書類が必要です。
・申告書 ・陳述書 ・在留特別許可願出書 ・反省文 ・嘆願書 ・出生証明書等身分関係書類
・外国人登録原票記載事項証明書 ・身元保証書 ・申請理由を立証する書面等
その他、申請理由により提出書類は変わってきます。
在留特別許可に関する支援業務
他のビザ(在留資格)申請支援業務と違い、書類の代行等ができないので、本人が手続きを行うため、支援業務としては書類作成がメインとなります。
在留特別許可はプラスの要素とマイナスの要素があり、いかに事実に基づいたプラスの要素を書類として作成するかが重要となります。
在留特別許可の審査はケースバイケースで、実際に申請してみないことには許可されるのかは判断できません。
手遅れになる前にご相談下さい。
就労ビザの基準報酬
在留特別許可書類作成 334,800円〜